チャットボットはユーザーの問い合わせに対して、あらかじめ設定したシナリオ構築や、蓄積データを解析して自動回答するロボットです。
チャットボットを導入することで、業務効率化による人件費削減や顧客満足度の向上、ユーザーとの接点を増やせる、ユーザーの検索ニーズに合わせた誘導ができるといったメリットがあります。
チャットボットツールを利用すれば、特別なコーディング技術がなくても簡単に導入できます。
今回は、チャットボットを導入することで得られる4つのメリットや導入の手順、注意すべきポイントなどをご紹介いたします。
目次
チャットボットとは
チャットボットとは、ユーザーが入力したテキストや音声に対して、自動で回答するロボットのことです。
これまで電話やメール、Web上の問い合わせフォームを通してやり取りしていた問い合わせへの自動返信や適切なアドバイス、注文対応など、企業とユーザーをつなぐコミュニケーションツールとして活用されています。
Facebookメッセンジャーのチャットボット機能を皮切りに、LINEやSkypeなどが続々とチャットボットに対応し、より身近なものとして認知されるようになりました。
技術的なハードルが下がり、導入する企業が急増したことでチャットボットの市場規模は拡大傾向にあり、2022年には130億円を超えるといわれています。[注1]
[注1]矢野経済研究所:国内の対話型AIシステム市場規模推移と予測
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1946
チャットボットの種類はルールベース型とAI搭載型の2つ
チャットボットには、大きく分けて2つの種類があります。ルールベース型とAI搭載(機械学習)型です。
ルールベース型は、あらかじめ作成したシナリオ(フローチャート式の質疑応答など)を設定し、それに沿った回答を自動的に行います。
設定されたシナリオ以外の回答はできませんが、シンプルな構成のため導入しやすく、コストも安く抑えられるのがメリットです。
一方、AI搭載型は、事前に入力したデータやユーザーの回答によって蓄積されたデータを解析し、質問に対して適切な回答をします。
自然言語(人が普段話すときに使う言葉)からユーザーのニーズを解釈して回答したり、「Webサイト」と「ホームページ」といった表記ゆれを判別したりするなど、ルールベース型に比べて高機能です。
会話の精度を高めるためには大量のデータが必要で、導入にはそれなりの費用がかかります。
それぞれメリット・デメリットが異なるため、チャットボットの導入目的によって、上手く使い分けることがポイントです。
チャットボット導入で得られる4つのメリット
チャットボットを導入することで企業が得られる主なメリットとしては、次の4つが挙げられます。
1. 業務効率化による人的コストの削減
簡単な質問や頻出する問い合わせをチャットボットに自動対応させることで、人が対応する案件を極力減らすことができます。商材によっては注文処理や見積もり対応などをチャットボットに任せられるため、コールセンターやカスタマーサポートにかかる人件費を大幅に削減できます。
柔軟な対応が可能なAI搭載型チャットボットの導入には初期費用がかかりますが、長期的な目線で考えれば、十分な投資対効果が期待できるしょう。
2. 顧客満足度の向上
チャットボットは24時間365日フル稼働でユーザー対応にあたれるため、人では対応できない営業時間外の問い合わせを、その日のうちに迅速に処理することが可能になります。人員や残業を増やすことなく、より多くの問い合わせに対応できるようになれば、業務効率化だけでなく、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
3. ユーザーとの接点が増える
ちょっとした質問をわざわざメールフォームで問い合わせたり、電話をかけたりするのが面倒だと感じているユーザーは少なくありません。そのようなとき、チャットボットであれば気軽に質問できるうえ、その場ですぐに問題を解決できます。
とくに、LINEなどのチャットベースがコミュニケーションの主流である10代・20代の若者にとっては、電話やメールよりも利用しやすいでしょう。
「商品やサービスに対して興味があるものの、一歩踏み込めない」という見込み客との接点が増えることで、新規顧客の獲得につながります。
4. 検索ニーズに合わせた的確な誘導
コンテンツが膨大なWebサイトでは、ユーザーが求める情報になかなか辿り着けないという問題があります。
ユーザーの疑問に対応すべく「よくある問い合わせ」やFAQページを設けているサイトも多いですが、
● 自分の状況・ニーズにフィットする回答が得られない
● 検索結果のヒット数が多過ぎて欲しい回答を探し当てるのが面倒
といった理由から、ユーザーがサイトから離脱してしまったり、サービスへの不満を募らせてしまったりするケースがあります。
こういったユーザーの検索疲れを解消するためにも、チャットボットの導入は大変有効です。
FAQページとしてチャットボットを設置することで、ユーザーは余計なページ遷移や画面スクロールをすることなく、簡単に自分のニーズに合った情報が得られます。
また、使い方が複雑な商材や、難しい専門用語など、サイト上ではわかりやすく説明することが難しい情報に関しても、チャットボットでの対話でわかり易く補足することが可能です。
チャットボット導入の手順
チャットボットを自社で一から構築し運用するとなると、コストや時間がかかるだけでなく、高いコーディング技術が必要です。そこで利用したいのが、チャットボット開発が簡単にできる、既存のプラットフォームです。チャットボットツールを利用することで、チャットボット導入にかかるコストと時間を大幅に削減できます。
今回は、チャットボットツールを利用した際の導入手順をご紹介します。
1. チャットボットの導入目的を明確にしておく
まずはチャットボット導入にあたって、実現したい目的を明確にしましょう。
目的をしっかりと定めることで、
● ルールベース型、AI搭載型どちらのチャットボットを導入するか
● インターフェース(チャットボットを利用する場所)の選定
● 利用するチャットボットツール候補のピックアップ
● シナリオを構築する上での軸や方向性
● チャットボットの業務範囲
などが、スムーズに決まります。
2. チャットボットツールの選定
続いて、利用するチャットボットツールを選定します。
チャットボット導入の目的や価格ほか、次の3つのポイントを抑えましょう。
● レポーティング機能などの有無
● サポートの充実度
● セキュリティ対策が十分かどうか
簡単に導入ができるといっても、シナリオ構築から設置または運用中に、思わぬ不具合などのトラブルが発生する可能性もあります。そのようなとき、迅速に対応してもらえるよう、サポート体制が充実しているかどうか必ず確認しておきましょう。
また、チャットボットはユーザーと直接対話するツールであること、対話のなかで、ユーザーのプライバシーに関するやりとりが行われる場合があることから、どのようなセキュリティ対策がされているかも重要な選定ポイントです。
3. チャットのシナリオ構築
チャットボットツールが決定したら、要となるシナリオの構築を行いましょう。
これまでに多かった問い合わせや、チャットボットに処理してもらいたい簡単な質問などをまとめるだけでなく、今後問い合わせが増えるであろう案件などを想定したシナリオを設計します。
重要なのは、ユーザーに誤解を与えないよう、正確でわかりやすいシナリオ設計です。チャット内で表示される選択肢は3つ、多くても5つまでにしましょう。それ以上に多い選択肢は、ユーザーを悩ませてしまいます。
また、チャートの階層は深く設定せず、下がっても5階層までに止めておきましょう。細かい説明や丁寧なヒアリングが必要な場合は、有人対応のサポート窓口や問い合わせフォームへ誘導するといった構築がおすすめです。
4. テストによるボットの標準化
シナリオの構築が完了したら、運用前に設計したシナリオをテストします。テストは必ず複数人で行い、
● 質問に対して的確な回答ができているか
● シナリオの流れに不自然なところはないか
● ユーザーの誤解を招くような展開はないか
といった問題がないか、実際に稼働させながらテストを繰り返し、自然な流れでユーザーのニーズに応えられるチャットボットを標準化させていきます。
チャットボットの導入で業務効率化&顧客満足度の向上を目指す
チャットボットは、今や企業にとって欠かせないツールのひとつです。
ユーザーから届く「よくある問い合わせ」や簡単な質問を、チャットボットによる自動解答で対応させれば、効率的に多くの問い合わせを処理できるだけでなく、人件費の大幅な削減にもなります。
チャットボットの導入で実現したい目的を達成するには、目的に合ったチャットボットツールの選定と、ユーザーの検索ニーズに応えられるシナリオ構築が重要です。運用後は定期的なモニタリングやメンテナンスを行い、チャットボットの精度を高めていきましょう。
チャットボットの導入に関するよくある質問
- チャットボットを導入するとどのような効果がありますか?
- お客様目線だと24時間対応可能な点やニーズに合わせた的確な誘導が出来るため、顧客満足度の向上にもつながると考えられます。
- チャットボットの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?
- 開発するかやどこかの会社のツールを利用するかによって大きく異なりますが、チャットプラスの場合は月額1,500円から始められるプランもございます。