CASE
導入事例
一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会
CTO 野口 啓之様
野田様
全日本ピアノ指導者協会(PTNA ピティナ)は非常に歴史のある団体で、その名の通り、ピアノの指導者が中心になって作られています。指導者の先生を始め、ピアノを学習している方、作曲家や調律師など、約1万8000人の会員が所属する組織です。
「音楽で培われる『人間力』を、社会の力に。」というビジョンのもと、私たちは、ピアノ指導者、ピアノ学習者、これからピアノに出逢う人、それぞれの成長のステージを支えるために、幅広い事業を展開しています。その1つがコンクールの主催です。当協会が主催する「ピアノコンペティション」は、延べ5万人近くが参加するような世界最大規模のピアノコンクールです。2021年、世界最高峰のショパンコンクールにおいて、日本人でファイナリストに入った二人のピアニストも、当協会のコンクール経験者です。
また、ピアノ学習者へステージとモチベーションを提供するため、全国各地で「ピアノステップ」という事業を展開しています。必ず毎週どこかで発表する場があり、1年間に600回くらい催されています。さらに、指導者の実力を育成していくために、「ピアノセミナー」を現地とオンラインでリアルタイムに、そしてeラーニングでも展開しています。ピアノを新しく習い始めたいという方に対しては、「ピアノ教室紹介」というマッチングサービス。いつか弾きたい憧れの曲をいつでも検索し見つけることができ、楽曲を作った人がどういう時代に生きて、どういう気持ちで曲を作ったのかを知ることができるWebサービス「ピアノ曲事典」も公開しています。当協会は、ピアノというものに対して、あらゆる角度からいろいろなことを手掛けている団体になります。
野口様
私は、現在CTO(Chief Technology Officer 最高技術責任者)という役職に就いていますが、当協会の本部事務局の一般事務職として入局しました。当協会が主催するコンクールや全国各地で行う発表会などの事務オペレーションを担当していましたので、普段どれだけお問い合わせの電話がかかってきて、どれだけ対応しなければならないかを体験してきました。電話だけではなく、問い合わせフォームやメールでのお問い合わせもあり、ひたすら打ち返していかなければなりません。
また、問い合わせ対応の内容を同じチームの方に共有しないと、1つの質問に対して回答が異なってしまうこともあります。膨れ上がる問い合わせ対応業務によって事務局の負担が増え、オペレーショントラブルを起こしかねないこの状況を解決しなければ…という課題がずっとありました。
お問い合わせに対し自動回答するチャットボットをWebサイトに設置すれば、電話やフォーム、メールのお問い合わせがチャットボットに吸収されていくのではないかと考え、チャットボットを自分で組んだり、自然言語処理のチャットボットなどでテスト導入をしてみました。ただ、自前で全部準備するのはコストがかかりますし、自然言語処理のチャットボットサービスは月額料金が高額です。もっと気軽に始められるサービスはないかと考え、チャットボットを検索していました。
そんな時、ヒットしたのがChatPlusです。月額1500円から始められるということで、とりあえず使ってみることにしました。
野口様
実はChatPlusに近い価格帯の他社のサービスも使ってみたのですが、私たちがやりたいことを実現するには、少し物足りないと感じました。いろいろ工夫して運用でカバーできないか考えたのですが、やはりカバーしきれなくて。他のサービスも使ってみて、これだけの機能が月額1500円で使えるという水準のチャットボットサービスは、ChatPlus以外にはありませんでした。
野口様
Webサイトの「コンクール」や「ステップ」、「マイページ」などのよくある質問が多いページに、チャットボットを設置しています。初回の選択肢でご希望の事業を選択できるようにして、選択したらその事業について深掘りしていただくようにしています。例えば、コンクールならコンクールだけの質問を受け付けるチャットボットもできますが、1つにまとめられたチャットボットのほうが、ログを分析するためのCSVデータ取得が1回で済むので、今の当協会の規模感だと、ページごとにチャットボットを設けるよりは、1つにまとめて運用しております。
また、コンクールのページに来ていても、マイページについて質問をしたいという方もいらっしゃいます。コンクール用のチャットボット、マイページ用のチャットボットと分けてしまうと、コンクールページを訪れている人は、マイページの質問はどこからすればいいんだろう?となってしまいます。利用者の利便性も考えて、1つにまとめることを選択しました。
野口様
最近はコロナに関するお問い合わせが増えて、全体のお問い合わせ件数は増加です。電話、メールの件数自体は減っていないものの、コロナ前の2019年と比較すると、全体数が増えた中でお問い合わせ数がそこまで変わっていないというのは、間違いなくチャットボットで解決できているからだと思います。事実、2022年4月~9月に、コンクールの問い合わせのためにチャットボットが起動された数は、月350~450件にも上ります。
マイページに「ログインできません」といったお問い合わせについても、問い合わせフォームから来ている問い合わせが2021年(4~9月)は291件ありましたが、2022年(4~9月)は213件と78件の減少で、チャットボットへのマイページ関連の問い合わせは、829件もありました。人が1件の問い合わせに対応するには3分以上かかります。チャットボットにより数時間分の工数が減らせているというのはそれなりの大きな効果だと思います。
ただそれ以上に、チャットボットが人手による問い合わせ対応を減らすだけでなく、今までだったら、分からないからそのまま離脱してしまって、問い合わせフォームにも行かないし電話もかけてこないという人たちまでを取り込めているのだと思います。
野口様
まだチャットボットを設置していない事業のページにも、少しずつ広げていきたいと考えています。あとは、チャットボットをもう少し活用しやすくするためのアピールを、SNSやメールニュースなどで積極的に行っていきたいと思っています。チャットボットがあるということに気づいていない方もまだまだいらっしゃるかと思うので、「今このくらいチャットボットが使われています」というような記事などを配信していきたいですね。
時間を気にせず問い合わせができて自己解決できるチャットボットは、ユーザーにとっても、メリットが大きいと思います。実際、「電話するのはちょっとためらいがある」という声は10年前ぐらい前から増えています。コンビニやアパレルのアプリなどでアバター接客を目にする機会があります。そのほうが気兼ねなく買い物ができるという人も多いのではないかと思います。チャットボットで、人間ではないものに、気軽に相談できるというのは、ユーザビリティの向上にすごく繋がるのでしょうね。
野口様
「ピアノを習いたい」など興味をお持ちの方のために、当協会はピアノ教室紹介というサービスを展開しています。たとえば、もう会社を退職されたお父さんが、娘さんの結婚式にピアノを自分で演奏したいから教えてほしい、3カ月でピアノを弾けるようにしてほしいと習い始めるということもありました。ただ単にお子様がピアノを習い始めるというだけではない、いろいろな年代の方から当協会へお問い合わせをいただいています。最高齢だと90歳の方が100歳を超えて亡くなられるまでピアノを続けられたということもありました。
人生を豊かにするものとして、またその方の歩んでいる人生にピアノはやさしく寄り添ってくれるものです。東北の大震災の時、家も流されて食料もないという時に、ピアノの音色が安らぎを与えてくれて心が救われたというお話しを聞いたこともあります。衣食住に比べると贅沢なものと考えられがちですが、ピアノは心の拠り所としてとてもいい役割を果たすものです。私たちは、ピアノや音楽が、ただの嗜好品、贅沢品というだけではなく、社会に役立つものであることをうまく立証していきたいと考えています。ピアノの腕前を上達させたら、コンクールや発表会などの場も当協会では用意しています。多くの観客の前でピアノを演奏するというのは、人生の中でもなかなか得難い経験だと思います。ご興味がおありでしたら、当協会のWebサイトを覗いてみてください。