膨大な量のアレルギー疾患情報をチャットボットで発信し、疾患の正しい知識を一般へ普及。医療課題の克服へChatPlusが貢献
大塚製薬株式会社 医薬品事業部
メディカル・アフェアーズ部 CNS精神グループ MSLリーダー 南出 貴史様
メディカル・アフェアーズ部 眼科皮膚科グループ メディカルサイエンス 岡本 佳菜様
貴社のビジネスについてご紹介ください
南出様:大塚製薬は現在、2つの事業を主に展開しています。1つは、ニュートラシューティカルズ関連事業といい、ポカリスエットやカロリーメイトなど、日々の健康維持・増進をサポートする栄養製品や健粧品を展開するビジネス。もう1つが、疾病の診断から治療までを担う医療用医薬品などの研究・開発・販売を行う医療関連事業です。
私たちは、医療関連事業に属するメディカル・アフェアーズ部に所属しています。メディカル・アフェアーズ部は自社製品のプロモーションを担う営業部門とは異なり、完全に独立している部署で、疾患にまつわるエビデンスの構築と、医療課題に対して適切な情報発信をする、patient-centric な視点から解決策を講じることが主な業務になります。情報発信の1つのアクションとして、適切な情報を患者さんやご家族にも届ける、Webサイトを通じた疾患啓発活動なども行っています。
ChatPlusを導入されているWebサイトについて教えてください
岡本様:今回、ChatPlusのチャットボットを導入したのは、「アトピース」というアトピー性皮膚炎に関する情報発信のWebサイトになります。アトピー性皮膚炎については、関連する情報がネット上に多数流れていて、何が正しいのか分からない人たちも多いという状況です。製薬メーカーとしてエビデンスに基づいた正しい情報を届けるということを目的に立ちあげたのが「アトピース」です。
アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症します。そこで、子どものアトピー性皮膚炎に特化し、情報提供と早期受診を促す内容にしています。2022年の4月に立ちあげ、保護者の方やご家族だけでなく、お子さんと関わる方々に、アトピー性皮膚炎という疾患と治療について正しい知識を持っていただき、会社として寄り添っていきたいというところを目的として開設しているサイトになります。
ChatPlusの導入をご検討されたきっかけは?導入前にどのような課題がありましたか?
南出様:まず、アトピー性皮膚炎において患者さんが適切なタイミングで医療機関に受診できていないことが課題の1つになっています。そこには、疾患について最新のエビデンスに基づいた情報が十分伝わっておらず、理解されていない可能性があるからです。さらに、疾患について正しい知識がちゃんとあれば、受診するだけではなく、いろいろな対策が早く打てるようになります。
また、子ども(特に乳幼児)のアトピー性皮膚炎を始めとするアレルギー疾患については、乳幼児の検診を行う助産師さんや保健師さん向けに、アレルギーの専門家の方々が作成した「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き(https://www.jschild.or.jp/archives/772/)」があるのですが、アレルギー疾患のことを学ぶことができる内容であるため、より多くの方にこの情報を届けたいと思っています。
乳幼児健診を行う助産師さんなどは限られた時間の中で多くのことを確認しなければなりません。その中でアレルギー疾患に関する知識の習得から実践へ繋げることの難しさが、この手引きの普及に対するハードルになっていたと考えています。
そこで、保護者の方たちへ、アレルギー疾患についてガイドブックに掲載してある情報を、助産師さんを介さずダイレクトに伝える方法はないかと検討していたところ、社内の別のチームがChatPlusのチャットボットを利用した啓発のための情報提供を考えていることを知り、「これは、アトピースでも使える!」とすぐにChatPlusを紹介してもらいました。
ChatPlusはどのように活用されていますか?
南出様:「アトピース」に、「もっと知りたい方はこちら」とChatPlusのチャットボットを設置しています。アレルギーの専門家の方々が作成したガイドブックの内容をもと、より分かりやすく伝わるよう、監修医の元、より分かりやすい文言に一部修正し、情報提供しています。
岡本様:「アトピース」はアトピー性皮膚炎の情報サイトですが、アレルギーに関する情報とはいえ、多くの情報をサイトに載せればいいというものではないと思います。あまり情報を詰め込みすぎると訪問者が自分の知りたい情報を見つけにくくなったり、情報を届けたい方々の離脱を招くことになってしまいます。サイトには核となる情報を、載せられなかったけれど重要で知ってほしい情報はチャットボットに掲載し、必要としている方にちゃんと情報が届くようにできたのはとても良かったと思います。
ChatPlusの導入効果はどのようにお考えですか?
南出様:チャットボットを1つ追加することで、ぜんそくや食物アレルギーなどアレルギー全般の情報をまとめることができたと思います。チャットボットには、膨大な情報量を掲載することができます。そういう意味では、チャットボットによってアトピー性皮膚炎以外のアレルギーのことも知ることができるという価値をつけられたと思っています。
また、チャットボットによって、ダイレクトに保護者の方へ情報提供できるようになったことを、お二人の監修医の先生からも評価をいただいています。
数あるチャットツールの中で、ChatPlusを選択されていかがでしたか?
南出様:今回、チャットボットの利用は初めてだったのですが、設定も比較的簡単で不明なところはChatPlusの担当の方にとても柔軟に対応していただきました。また、新しいシステムを導入する時には、費用面で悩むこともありますが、手の届きやすい金額で導入できたことも良かったです。
岡本様:導入後も、チャットボットの内容や見せ方をこう改善したほうが効果的…とアドバイスいただけるのが、うれしいです。疾患に対する知識や認知度向上という目的に、ChatPlusの担当の方も寄り添っていただいているような感じがして、とてもありがたく思っています。
今後ChatPlusをこんなふうに使ってみたいというのはございますか?
岡本様:今回「アトピース」にチャットボットを搭載したことで、他部署から反響がありました。
南出様:個人的な考えでは、社外向けの利用だけでなく、社内向けにもチャットボットが使えると思っています。医薬業界には守らなければならないルールがたくさんあります。それを人から人に教育・指導するにはとても労力がかかります。そんな時に、チャットボットを見たら、知りたいルールがすぐに分かる。そんな使い方もできるのではないかと思います。
最後に、当ホームページをご覧のお客さまへメッセージをお願いします。
岡本様:「アトピース」は、子どものアトピー性皮膚炎にフォーカスしたサイトになっています。お子さんに湿疹ができた時、保護者の方がこれは受診が必要なのか、スキンケアでいいのか、すごく悩まれると思います。お子さんが小さければ小さいほど受診をためらってしまう。受診をためらっているうちに、アトピー性皮膚炎や他のアレルギー疾患をも発症してしまうといったケースが決して少なくありません。「アトピース」は、お子さんの湿疹がもしかしたらアトピーかもしれないと思う保護者の方へ、適切な情報とともに、医療機関を受診していただけるようメッセージを発信しています。もしお子さんの湿疹やアレルギーに関して不安に思ったり、疑問がありましたら「アトピース」をぜひアクセスしてみてください。
3カ月検診などの時には身長・体重などの発育がメインで、あまり皮膚まではちゃんと診てもらえないことが多いです。「先生、アトピースにはこう書いてありますが…」と言っていただけるだけでも、早期発見につながります。アトピー性皮膚炎だけではなく、保護者の方たちが疾患に関して正しい知識を身に着け、「医療機関の受診」がもっと身近な世の中になることを私たちは願っています。
大塚製薬株式会社 医薬品事業部
メディカル・アフェアーズ部 CNS精神グループ MSLリーダー 南出 貴史様
メディカル・アフェアーズ部 眼科皮膚科グループ メディカルサイエンス 岡本 佳菜様
アトピー性皮膚炎の情報サイト「アトピース」
https://atopic-dermatitis.jp/